2014年05月11日

 静和病院事件A

 ●誤判による冤罪であることをみずから白状している判決文
 静和病院事件は、司法が、警察・検察の証拠工作にひっかかった誤判による冤罪事件である。
 誤判であることは、判決文が、みずから語っている。
 関係者からあずかっている判決文にこういう一文がある。
「従来の3対1基準に相当するのが『15対1入院基本料の施設基準(15対1看護要件)』であり、静和病院が施設基準として届け出ていた4対1基準よりも厳しい要件が課せられる」
「一般病棟に関する看護職員や勤務条件において、従来の3対1基準に相当するという15対1基準に到底及ばなかった」
 静和病院一般病棟が違反したとする施設基準(15対1看護要件)は、従来の4対1よりもきびしく、3対1に相当するといっているのである。
 これは、真実か?
 3対1を一般病棟55床にあてはめると、55÷3=18.33…である。
 きりあげると、たしかに、19人になる。
 しかし、15対1看護要件の必要看護師数は、日勤7人、夜勤2人の計9人ではなかったのか?
 9人が適正なのに、これを19人とされたら、日本中の病院が、すべて、大幅な看護師不足となる。
 そういう根拠で、病院長を詐欺罪で逮捕、6年6月という重刑を科せば、刑務所は、日本中の病院長で満杯になって、日本から、病院が一軒残らず消えてしまうことになる。 
 厚生労働省が公布した施設基準(施設基準)は、下記のとおりである。
 ■15対1看護要件(55床)/55÷15×3=10.99(11人→9人)
 ■5対1看護要件(55床)/55÷5=11.00…(11人)
 ■4対1看護要件(55床)/55÷4=13.75…(14人)
 ■3対1看護要件(55床)/55÷3=18.33…(19人)
 新法である15対1看護要件は、人頭主義から人時間主義にきりかえられたので、11人は、実際は9人となる。
 義務づけられている夜勤2人が、4人時間と計算されているからある。
 
 平成18年に健康保険法が改正になるまで、適用されていたのが、4対1看護要件だった。
 4対1看護要件では、14人の看護師が必要となる。
 4対1が15対1にきりかえられた健康保険法の改正で、必要看護師数は、14人から9人となった。
 大幅な規制緩和である。
 慢性的な看護師不足が社会問題化したための国家的措置と思われる。
 ところが、静岡県警は、これを規制の強化と誤認した。
 ここから、静和病院事件がねじまがってゆく。
 もういちど、判決文からの引用を読んでいただきたい。
「従来の3対1基準に相当する15対1基準」「4対1基準よりも厳しい要件が課せられる」
 とある。
 司法も、15対1看護要件を規制の強化と思い込んでいたのである。
 平成20年4月に、静岡県警は、マスコミや厚労省静岡事務所をふくめた100人態勢で、静和病院へ強制捜査をおこなった。
 摘発の対象となったのは、平成18年4月〜9月間の健康保険法違反と、同違反にもとづく詐欺罪だった。
 同期間に、看護師数を偽って、保険診療料を不正に受給したという容疑である。
 平成18年の4月は、改正健康保険法が施行された月である。
 常識的に言って、規制が緩和された直後の強制捜査は、ありえない。
 それなら、規制がもっときびしかった、それ以前の状態を、なぜ、放置したのかという話になるからである。
 このことから、静岡県警は、健康保険法の改正を、規制強化とカン違いしていたことが明らかだ。
 
 ここに、静和病院事件の最大の謎がある。
 静岡県警は、強制捜査をおこなう一か月前の平成18年3月、厚労省厚生局静岡事務所に事情聴取をおこなって、15対1看護要件が、日勤7人、夜勤2人であることを知っていたはずである。
 本来なら、ここで、15対1看護要件違反は容疑なしとなって、捜査本部は、解散である。
 ところが、静和病院事件では、そうならなかった。
 15対1看護要件の必要看護師数が9人であることを知っていながら、強制捜査を強行したのである。
 理由は、いったん走り出したら止まらない警察捜査の習性にくわえて、「叩けばほこりが出る」という推認がはたらいたためだったろう。

 だが、ほこりはでなかった。
 15対1看護要件違反も、徹底的に洗った従業員の健康保険法不正申請も、証拠はでなかった。
 そこから、日本の司法史に前例のない、証拠改ざんによる立件という不祥事がひきおこされるのである。
 わたしが、証拠改ざんを指摘しているのではない。
 静岡県警と静岡地裁が、証拠改ざんを、みずから、暴露しているのである。
 15対1看護要件違反の唯一の証拠が、勤務予定表(証拠A)だった。
 証拠Aによると、平成18年4月の看護師の延べ勤務日数は、121日(人)である。
 121日を一か月31日で割ると、1日3.9人(日)にしかならない。
 この数字を見て、裁判官が、15対1看護要件違反を確信したのは、当然である。
 ところが、静岡警察が、証拠Aをコピーして、作成した勤務実態一覧表(証拠B)では、看護師の延べ勤務日数が、220日(人)になっている。
 10人の常勤看護師が、22日間勤務したので、220日(人)というわけで、この数字は、源泉徴収簿兼賃金台帳の数字と一致する。

 証拠Aと証拠Bは、法廷に、同時に提出された。
 証拠Bを提出したのは、厚労省厚生局静岡事務所のお墨付きをえたのが、証拠Bだったからである。
 厚労省厚生局静岡事務所は、証拠Aを見ていない。
 見ていたら、改ざんが、一発で、バレていたろう。
 繰り返すが、有罪の証拠となったのは、証拠Aの勤務日数121である。
 ところが、証拠Bでは、勤務日数が、220になっている。
 そのことに、裁判官が気づかなかったのは、表記方法が異なっていたからである。
 表記方法はどうあれ、前裁判では、勤務日数121と220が並立したのは、事実である。
 矛盾する2つの証拠が並立した裁判で、どうして、正義と公正が担保されるか。
 それ以前に、これでは、とても、裁判にならない。

 静岡県警と静岡地裁は、看護師の総勤務日数が220だったことを知っていた。
 知っていながら、総勤務日数が121の証拠Aを提出して、裁判官の誤判を誘導した。
 静和病院事件の有罪判決は、司法が、警察・検察に騙されて、下した誤判で、日本の裁判史上、これほど露骨な証拠隠滅は、前例がない。
 証拠隠滅には、無実の者を陥れる意図で、無実の証明に役立つ証拠を隠蔽した場合にも、適用される。
 裁判官を欺くために、総勤務日数121の証拠Aを提出した行為も、当然、証拠隠滅罪に抵触する。
 証拠Aの121は、もともと、220だった数字を改ざんしたものである。
 コピーされた証拠Bが220ということは、コピー元の証拠Aも、元々、220だったからである。
 次回以降、提出された再審請求書をもとに、証拠捏造の手口を検証していこう。
posted by 山本峯章 at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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