2014年05月06日

静和病院事件@

 ●なぜ、記者会見で、証拠捏造を告発しなかったのか
 看護師の人数が足りなかったという健康保険法違反に、詐欺罪を適用されて、病院院長に6年6月の重刑が科された静和病院事件の再審請求が、4月21日、静岡地裁に提出された。
 この事件は、一年半ほど前、わたしが理事をつとめる「司法を正す会(村上正邦/春風の会主宰)」で議題にしたことがあっただけに、関心をもち、再審請求の準備についても、関係者から、逐次、報告をうけてきた。
 関係者の話によると、再審請求にふみきったのは、無罪の新証拠がでてきたほか、証拠捏造の明らかになったからという。
 だが、再審請求をつたえる地元紙(静岡新聞)やネット版ニュースに、証拠捏造≠フ文字はない。
 以下、その文面である。
 静岡県東伊豆町の静和病院が看護師数の水増しで診療報酬を不正受給したとして、詐欺罪で有罪判決が確定し静岡刑務所で服役中の吉田晃元院長(75)が21日、再審請求書を静岡地裁沼津支部に提出した。
 弁護団は「看護師数の水増しはなかった」として、実際のカルテや看護師の勤務表、源泉徴収票を新証拠とした。
 会見した元院長の実弟(71)と、弁護団の榎本哲也氏らは「必要な看護師数を割り出す健康保険法が2006年に改正され、警察検察も法の解釈を誤っていた」と述べ、水増ししていないと主張した。
 元院長は「不正請求は元事務職員らが了解なしに行った」と捜査段階から一貫して無罪を主張し、最高裁まで争ったが、12年6月、上告が棄却され、刑が確定した。

 一年前に聞いた話とほぼ同じで、同様の論旨を立てた上告が、最高裁から却下されている。
 上訴以上に難関の再審請求で、こんな主張をしても、万が一つにも、とおる可能性はない。
 静岡地裁が、この論旨をもって、再審決定の判断を下せば、最高裁の判断をひっくり返すことになるからだ。
 地裁に、そんな曲芸ができるはずはない。
 
 手元に、記者会見場で配られたペーパーがある。
 そこに、データ改ざん≠ニ証拠捏造≠フ文字がある。
 再審決定の唯一のカギは、袴田事件を見てわかるとおり、証拠捏造があったか否かだけだ。
 ところが、新聞記事では、これが、完全に否定されている。
「警察検察も法の解釈を誤っていた」という一文が、それだ。
 警察や検察が、法の解釈を誤っていたのなら、データ改ざんと証拠捏造は、ありえない。
 データ改ざんと証拠捏造は、警察や検察が、法を正しく解釈していたからなのだ。
 どちらなのか。
 強制捜査をおこなう一か月前の平成18年3月、厚労省厚生局静岡事務所に事情調書をおこなった静岡県警は、法(施設基準)の正しい数値を知っていった。
 その調書には、一般病棟55床の必要看護師が、日勤7人、夜勤2人の計9人と記されている。
 警察や検察は、正しく法の解釈していたのである。
 これでは、立件できない。
 なぜなら、静岡県警が作成した勤務実態一覧表では、看護師数が7人いたことになっているからである。
 施設基準では、6か月に猶予期間にかぎって、夜勤1人でも可としている。
 つまり、法定の必要看護師数は、8人だった。
 勤務実態一覧表の7人には、師長や他病棟からの補充看護師、非常勤看護師が除かれているほか、残業換算がふくまれていない。
 これらを入れると、在勤看護師は、10人を超える。
 警察や検察は、そのことも、知っていた。
 法定の必要看護師数が8人で、在勤看護師が10人以上なら、逮捕どころか、表彰ものである。
 警察や検察が、データを改ざんして、証拠改ざんをおこなったのは、そうするほかに、立件が不可能だったからである。
 データ改ざんの証拠も、揃っている。

 なぜ、弁護士や請求代理人は、記者会見で「法の解釈を誤った(知らなかった)」としてデータ改ざん≠否定したのか。
 証拠捏造を告発しなかった以上、静和病院事件は、並みの再審請求の一つとして、風化してゆくだろう。
 出版社もつかず、マスコ種になることもなく、ネットからも、消えてゆくだろう。
 だが、静和病院事件が、証拠捏造による、最大級の冤罪であることは事実だ。
 次回以降、同事件における証拠捏造の手口を、本ブログで、暴いていくことにしよう。
posted by 山本峯章 at 12:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がない ブログに表示されております。